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カタックを語る。#14

2011.11.21

http://www.miyabi-kathak.com/

Devdas(2002)でマードゥリー・ディクシトに振付を施したインド人間国宝Pt.ビルジュ・マハラジ師に直接師事したインド宮廷舞踊家、佐藤雅子女史みやびカタックダンスアカデミー主宰)による「ナマステ・ボリウッド」連載コラム。華麗な舞踊について月1でアップしてゆきます。

カタックを語る。
#14 麗しの歌舞合戦〜Mughal -e-Azam(1960)
(ナマステ・ボリウッド#16号/2008年12月号初出)

映画中を盛り上げているミュージカルで、最も美しく華やかなシーンといえば、teri mehfil mein kismat aasma kal(歌会で運命を試して)」である。
身分の低い踊り子ながらサリーム王子(ディリープ・クマール)に愛される絶世の美女アナールカリー(マドゥバーラー)と、王妃の侍女で、王子の妻の座を狙う美しきバハルが、サリーム王子の前で繰り広げる歌舞合戦である。バハルは後宮の女性達の中でも身分が高く、王妃から、王子の妻にと嘱望(しょくぼう)されている教養高き女性。シルクの白のアンガルカを、慎み深く、且(か)つ品よく貴石で飾り立て、羽根飾りとジュエリーであしらったトーピー(帽子)をつけて美しく正装し、王宮で育てられた女性らしく誇り高く、クールに歌う。バハルを演じるニガル・スルターナー自身が幼い頃から古典舞踊や歌を習っていたためか、歌詞に合わせた視線の使い方や所作は絶品中の絶品だ。他方、アナールカリーは質素だが彩やかな衣装をつけ、自由に可愛らしく歌う。歌に合わせた表現は、感情が先行していることを見せたいという監督の指示であろうか、いささか未熟に見えるもののそれもまた愛らしい。背後にいる後宮の女性達の歌舞が素晴らしい。夫々(それぞれ)の女主人の性格に合わせて、情熱を内に秘めながらも格式を守る高貴な美女達と、自由に恋愛を謳歌したいカワイイ美女達に分かれている。
映画が作られたのは、インド独立間もない激動の時代。インドの伝統を擁しながらも、且つ自由を求めてやまなかった監督の深い意識を感じることのできるミュージカルシーンといえよう。

佐藤雅子/インド宮廷舞踊家。1995年渡印、インド人間国宝Pt.ビルジュ・マハラジ師に直接師事。師の許しを得て、2005年帰国。みやびカタックダンスアカデミーを設立し、2008年、東京都千代田区麹町に専用スタジオをオープン。古典のカタック・クラスの他、ボリウッド・カタック・クラスも併設中。


song promo by Shemaroo Entertainment.

*お知らせ*みやびカタックダンスアカデミー×ナマステ・ボリウッド共催、年末恒例のボリウッド・ドレスアップ・パーティー2011@赤坂を12月3日(土)に開催します。スペシャル・ゲスト、平松加奈さんによる情熱ヴァイオリンと佐藤雅子さんのボリウッド・カタック競演をお楽しみください。

Bollywood Dress Up Party

12月3日(土)、ボリウッド・ドレスアップ・パーティー@赤坂

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