梵林浄歌(3)tere bin
ナマステ・ボリウッド初期に、隆盛するパキスターニー・ポップスをいち早く紹介して好評を博した村山和之氏(「旅の指さし会話帳(75)パキスタン・ウルドゥー語」情報センター出版局)による連載コラムを月1で復刻アップしてゆきます。乞うご期待!
ボリウッドへ越境するパキスターニー・ポップス3章「tere bin」〜「Bas Ek Pal」(2006)
(初出:ナマステ・ボリウッド #04/2007年3月号)
tere bin main yun kaise jiya
kaise jiya tere bin
tere bin main yun kaise jiya
kaise jiya tere bin
lakar yaad teri raalen meri kali
2006年のパキスタン・ポップス・チャート下半期を独走し続けるヒット曲は「tere bin(テーレー・ビン〜おまえなしでは)」である。美しくシンプルなメロディーを朗々と叙情的に歌いあげるパキスタン・ポップスの王道を守りながらも、インドの都会的センスがどこか漂う名曲だ。さもあらん、オニル Onir 監督の作品「Bas Ek Pal(せめて瞬く間だけ)」(2006)のサントラCDに収められたこの歌は、印パの共同作品であった。
そして、作曲に参加し自らこの歌を歌うのがアーティフ・アスラム Atif Aslam。彼は2005年にバンド<ジャル>からソロに転じるや、2枚のアルバムを発表し、パキスタン・ポップス界を導く若手歌手の最有力となった。最新アルバムは「Hangamai Halat(ハンガーミー・ハーラト〜非常事態)」。今のところ両国間に大きな緊張はないが、それがむしろ非常事態ということか? いずれにせよ、一度聴いたら忘れられない透明感あふれるメロウな歌声に酔って欲しい。
(村山和之/和光大学オープンカレッジぱいでいあ講師)
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