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カタックを語る。#13

2011.10.24

http://www.miyabi-kathak.com/

Devdas(2002)でマードゥリー・ディクシトに振付を施したインド人間国宝Pt.ビルジュ・マハラジ師に直接師事したインド宮廷舞踊家、佐藤雅子女史みやびカタックダンスアカデミー主宰)による「ナマステ・ボリウッド」連載コラム。華麗な舞踊について月1でアップしてゆきます。

カタックを語る。
#13 女性楽師たちの活躍〜Mughal -e-Azam(1960)
(ナマステ・ボリウッド#15号/2008年11月号初出)

アーメダバードに名家サラバイ家の美術館がある。旧き良き時代のインドの面影を伝える美術館にて、後宮に仕える女房達が音楽を奏でる風景を模した絵画を購入した。シタールを奏で、太鼓を打つ美女達は華やかで、力強い躍動感に満ちている。女性で編成された音楽師隊をどこでみることができるのだろう。と、思っていたら、偶然にも国民的大ヒットを博した映画「Mughal -e-Azam(ムガレー・アザン:偉大なるムガル帝国)」(1960)で観ることができた。製作から約50年の歳月を経た今でも、年数回、本国のテレビで放映されているほどの人気の映画である。
劇中の1曲目、アクバル皇帝より、アナールカリーという名前を貰った踊り子がクリシュナの誕生日を祝って皇帝一家の前で躍るトゥムリ「mohe pangat pe(私を水汲み場で)」。アナールカリーに扮する女優マドゥバラーが、大理石の上を可愛らしく舞い歌う脇で、後宮の女性音楽師達がシタールを奏で、バーンスリー(横笛)を吹く。後方では宮廷の踊り子達による華麗な群舞が繰り広げられ、噴水から流れ出る水が女性達を幻想的に包み込む。美しいことこの上ない。
ダンス指導はラクナウ派の巨匠Lacchu Maharaj。随所に古典の技術が盛り込まれている。ナチュラルで躍動的なパルタ(半回転の旋回)と効果的なアビナヤ(表現)、一糸乱れぬ群舞はラクナウ派の巨匠の彼だからこそ教え得たものだ。美しい旋律に包まれて、華やかに踊ってみたい一曲である。

佐藤雅子/インド宮廷舞踊家。1995年渡印、インド人間国宝Pt.ビルジュ・マハラジ師に直接師事。師の許しを得て、2005年帰国。みやびカタックダンスアカデミーを設立し、2008年、東京都千代田区麹町に専用スタジオをオープン。古典のカタック・クラスの他、ボリウッド・カタック・クラスも併設中。


song promo by Shemaroo Entertainment.

*お知らせ*毎年恒例のみやびカタックダンスアカデミー+ナマステ・ボリウッド共催X’mas印装パーティーに向けて、2011年11月23日(水・祝)に「ボリウッドダンス・ワークショップ」を開催予定。詳細は、追ってhttp://www.miyabi-kathak.com/にて。

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