梵林浄歌(2)yeh hai meri kahani
ナマステ・ボリウッド初期に、隆盛するパキスターニー・ポップスをいち早く紹介して好評を博した村山和之氏(「旅の指さし会話帳(75)パキスタン・ウルドゥー語」情報センター出版局)による連載コラムを月1で復刻アップしてゆきます。乞うご期待!
ボリウッドへ越境するパキスターニー・ポップス2章「yeh hai meri kahani」〜「Zinda」(2006)
(初出:ナマステ・ボリウッド #03/2007年1月号)
yeh hai meri kahani
khamosh zindagani
sannala keh raha hai
kyun zulm seh raha hai
ストリングス Stringsをご存知だろうか? ファイサル・カパーディヤー Fisal Kapadiyaとビラール・マクスード Bilal Maqsoodの二人を中心に、カラチを拠点に活動するパキスタンのポップスバンドである。ごく普通の学生バンドとして1990年にデビュー、就職を機に休止するが、音楽への思い断ち難く、安定した生活を投げ打って8年ぶりに活動を再開。そんな彼らの音楽には伝統的インド音楽の楽器音は聞こえない。
スクリーンには、ボリウッドより前にハリウッド映画で歌声を響かせた。アルバム「Dhani(ダーニー/いどころ)」(2003)から「naajaney kyoun(ナジャーネー・キョーン/なぜか知らねど)」が「スパイダーマン2」のインド版サントラに収められたのだ。ボリウッドでのデビューは2005年秋。サンジャイ・ダット主演「Zinda(ズィンダー/命あるもの)」で主題歌「yeh hai meri kahani(イェ・ヘイ・メーリー・カハーニー/我が物語とは)」を歌い、この功績からMTV Asiaのベスト・アーティスト賞にも輝いた。パキスタンでは、ジョン・エイブラハムの台詞部分を外した非サントラとしてリリースされている。
彼らが作ろうとしている音楽による架け橋は、アラビア海上を国際都市カラチからムンバイへと着実に延び足されつつある。
(村山和之/和光大学オープンカレッジぱいでいあ講師)