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カタックを語る。#12

2011.09.26

http://miyabi-kathak.com/

Devdas(2002)でマードゥリー・ディクシトに振付を施したインド人間国宝Pt.ビルジュ・マハラジ師に直接師事したインド宮廷舞踊家、佐藤雅子女史みやびカタックダンスアカデミー主宰)による「ナマステ・ボリウッド」連載コラム。華麗な舞踊について月1でアップしてゆきます。

カタックを語る。
#12 壮麗なカタックダンス〜Devdas(2002)
(ナマステ・ボリウッド#14号/2008年8月号初出)

2000年冬のこと。師匠ビルジュ・マハラジが古典とは少し違った雰囲気の曲を振付けし始めた。スペースの使い方も通常の使い方とは違い、中心を開けたフォーメーションだ。「マードゥリーがここで踊るのだよ」師匠が満面の笑顔を見せる。
インドのトップ女優マードゥリー・ディクシトは師匠の大ファンで、劇中カタックダンスを踊る際には必ず師匠に教えを請う。師匠もボリウッド随一の踊り手マードゥリーのことはたいへんな気に入りようで、「表情や身体の使い方が上手い。天性のものだ」と大絶賛だ。彼女のバックで10名の古典カタックダンサーが踊る曲はkahe ched moheクリシュナラーダーの愛の戯れの詩を、師匠がマードゥリーのために特別に選出し、作曲している。
おおよその振付ができたところで、映画監督サンジャイ・リーラー・バンサーリーのアシスタントがデリーに演舞を見に来ることとなり、これに合わせてコルカタからダンサーが到着。私も含めて総勢10名で踊ることになった。舞台と映画は違う。監督は師匠にいろいろな注文を出し、GOサインが出て、12月、インド各地からトップのカタックダンサー10名が選ばれ、師匠とともに、ムンバイ近郊の山中に作られた壮大なセットに入った。撮影は、5分半の演舞のために約一ヶ月要したという。
2002年、公開されたその映画Devdas(デーヴダース)」を、出演したクラスメイトと一緒に観に行った。さらに洗練された師匠の曲で、マードゥリーを中心に鮮やかに華やかに踊られるカタックダンスは、他の映画で踊られるカタックダンスの追随を許さない。最高の振付と最高のダンサー、最高の舞台装置。機会があれば再び大画面で酔いしれたいものだ。

佐藤雅子/インド宮廷舞踊家。1995年渡印、インド人間国宝Pt.ビルジュ・マハラジ師に直接師事。師の許しを得て、2005年帰国。みやびカタックダンスアカデミーを設立し、2008年、東京都千代田区麹町に専用スタジオをオープン。古典のカタック・クラスの他、ボリウッド・カタック・クラスも併設中。


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