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梵林浄歌(1)mitwa

2011.09.19

ナマステ・ボリウッド初期に、隆盛するパキスターニー・ポップスをいち早く紹介して好評を博した村山和之氏(旅の指さし会話帳(75)パキスタン・ウルドゥー語情報センター出版局)による連載コラムを月1で復刻アップしてゆきます。乞うご期待!

ボリウッドへ越境するパキスターニー・ポップス1章「mitwa」〜「KANK」(2006)
(初出:ナマステ・ボリウッド #02/2006年12月号)

昨今のヒンディー映画挿入歌には、意外にも、多くのパキスタン人歌手が起用されている。パキスタンでは80年代から、映画音楽とは異なるポピュラー音楽市場が確立し、ソロやバンドで男女の歌手たちが活躍してきた。98年、ロックバンド<ジュヌーン>のインド進出が突破口となって、パキスターニー・ポップスの歌手たちがインドでも聴けるようになった。
その一人が、東京国際映画祭2006でも上映された「Kabhi Alvida Naa Kehna」さよならは言わないで(2006)で「mitwa(恋人)」{ミトゥワー}を歌うシャフカト・アマーナト・アリー・ハーン Shafqat Amanat Ali Khanである。彼は、高名な古典声楽家アマーナト・アリー・ハーンを父に、伝統的古典音楽の家系に生まれ育った。フュージョンを意味するFuzon{フュゾーン}という三人組バンドを2001年から率い、東洋の古典声楽と西洋楽器の融合(フュージョン)を目指しているシャフカトは、国内外で活躍する人気歌手である。N・ククヌール監督作Dor(紐)」運命の糸(2006)にも参加している。共通文化をもつ隣国からも新しい才能を発掘して受容する、インド音楽界の見識は高く健全だ。今後もさらなる文化交流を続けて欲しいものである。
村山和之/和光大学オープンカレッジぱいでいあ講師)

Khanはウルドゥーでは「ハーン」、ヒンディーでは「カーン」と発音。同じKhanでも日本では一般にパキスタン国籍は「ハーン」、インド国籍は「カーン」と表記されている。一部例外→マイ・ネーム・イズ・ハーン」My Name is Khan(2010)

J-one #01

村山和之×すぎたカズト対談「南アジアからのまなざし」掲載

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