こんな映画がミターイ!(2)

イラスト:デーヴ阿南
「Bhoot Putar」KITARO~妖怪マハーバーラタ
インドも妖怪+都市伝説でホラー・ブーム?!
世界展開しているボリウッド、日本に定着しないのはなぜ? 戦後間もなく貧しい日本の子供を励まそうとネルーが贈った上野公園のインド象インディラを忘れ、「アフリカ象が好きっ!」とのたまったカルマか? さて、日印を結びつけるには、やはり合作映画。世界的名シリーズの梵林正式リメイクをさっそく妄想企画してみた。
急激に経済成長する反動からインドも妖怪ブームが来ると見越して、「ゲゲゲの鬼太郎」のボリウッド完全実写化を妄想企画! 氣になるキャストは以下の通り。ブート・プッタル(鬼太郎/ヒメーシュ・リシャームミヤー「Radio」)、ミャウミャウ(猫娘/ラーニー・ムカルジー)、アーンク・ババ(目玉親父/声=オーム・プーリー)、チューハーナート(ネズミ男/ティヌー・アーナンド)、レート・ブッドゥ(砂かけ婆/キロン・ケール)、レーナー・チャチャ(子なき爺/アスラーニー)、ガッダルワーラー(ぬらりひょん/アジャイ・デーヴガン)、ナーガ・ガラー(ろくろっ首/「Chak De! India」の姐御シルパー・シュクラー)、ディーワール・サーラー(ぬりかべ/声=サンジャイ・ダット)、フライング・サーリー(一反もめん/声=シュリヤス・タルパデー「Iqbal」)、Mr.ヤームダー(眼鏡出っ歯氏/ラザック・カーン)。友情出演として、シャニ・ムンナー(悪魔くん/リティーシュ)、メフィスト(ナッスィールッディン・シャー「Ishqiya」)も登場。残念ながら、こちらはフロップ。
もう一本、注目のホラーが「Kwaidan~Darna Kahaniyaan」。ラフカディオ・ハーンの「怪談」に甚く感激したサイーフ・アリー・カーンがイムティアズ・アリー(「Love Aaj Kal」)ら俊英監督を起用してオムニバス映画として製作。第1話は、雨季のベンガルに舞台を移した「琵琶法師」。ガンガー(ヴィジャイ・ラーズ)は、カリンガ征服で無常を悟ったアショーク王の演じ物を得意とする遊行のバウル*。ある夜、ジャンガルに滞在する隊商に乞われ、カリンガ王国がマガダ軍に敗れたくだりを七夜連続で演ずることに。数日後、ガンガーのやつれた姿に氣付いたパンディット*(ラグヴィール・ヤーダウ)が後を追ってみると、野武士(ヴィヴェーク・オベローイ)や老婦人(シャルミラー・タゴール=サイーフの母)らの亡霊相手にガンガーが詠じていた。翌日、パンディットはガンガーの身体に聖灰のマントラをくまなく施し、決して彼らの姿を見ないようと告げる。その晩も使いの野武士がやって来るが、ガンガーの姿が見えない。やがて一番鳥が鳴き、ガンガーが目を開けると目の前に立っていた野武士に眼玉をえぐられてしまう! 2話は、英国統治時代のデリーに置き換えた「狢」、屋台のチャイワーラー(アヌパム・ケール「Maine Gandhi Ko Nahin Mara」)が絶品! 第3話「雪女」は、カシミールの山村に住む木こりバハール(サイーフ)と雪女シーン(カリーナー・カプール)の甘く切ない悲恋物に仕立てられて…って、こんな映画、ミターイやーん!
(初出:ナマステ・ボリウッド#25:2010年9月号改稿 text by KJR)
*バウル:バクティとスーフィーに通じるベンガル地方の吟遊詩人。
*パンディット:ヒンドゥーの祭儀を司る僧。ブラーミン(ブラフマン)。
★インフォメーション★7月16日(土)、ボリウッド講座@早稲田大学を開講。ボリウッド・ネタを存分に満喫したい方、ぜひどうぞ。