ひんでぃーこれくしょん<S>
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!
   
アッチャー・ソングス
jo-hal dil ka
クマール・サーヌー
アルカー・ヤーグニク
is diwane ladke ko
アルカー・ヤーグニク
zindagi maut na ban jaye
ロープクマール・ラトード
ソーヌー・ニガム
hosh walon ko
ジャグジット・スィン
yeh jawani had kar de
カヴィタ・クリシュナムールティー
meri raton ki neendein
アルカー・ヤーグニク

Sarfarosh(命知らず)/1999 01.11.24 ★★★★
サルファローシュ
製作・原案・脚本・監督:ジョン・M・マッタン/台詞:リディ・レニー、パティック・ヴァッツ/撮影:ヴィカス・シヴァルマン/音楽:ジャティン-ラリト/詞:イスラール・アンサーリー、ニーダ・ファズリー、サミール、インディーヴァル/振付:ファラー・カーン、アフムド・カーン、ラージュー・カーン/アクション:アッバース-ハニーフ/編集:ジェトゥー・マンドゥル/美術:ケストー・モンダール/背景音楽:ディラージ・ダーナク、サンジョイ・チョウドリー
出演:ナスィールッディーン・シャー、アーミル・カーン、ソーナーリー・ベンドレー、ムケーシュ・リシー、スミター・ジャイカル、プラデープ・ラーワート、マクランド・デーシュパーンデー、ラージェーシュ・ジョシー、アリー・カーン、ウパサナ・スィン、マノージ・ジョーシー
特別出演:ゴーヴィンド・ナームデーウ

公開日:4月30日(年間トップ3ヒット!)

FILM FARE AWARDS:脚本賞、科白賞、編集賞、批評家選作品賞
SCREEN VIDEOCON AWARDS:新人監督賞、ストーリー賞、編集賞

STORY

ある晩、ガザル・コンサートで学友シーマ(ソーナーリー)と再会したアジェイ(アーミル)は、パキスターンのガザル歌手、グルファーム・ハサン(ナスィールッディーン)を紹介される。学生時代、兄をテロリストに殺されたアジェイは、ボンベイ特捜部のチーフとなってテロリストの武器弾薬ルートを捜査しており、その捜査線上にグルファムの名が浮かび上がる・・・。

Revie-U

これまた印パの確執を題材にしたアクション物。インド国内で活動するテロリストの武器供給にパーキスターン情報部が関与していることを真っ向から取り上げ、パーキスターンへ移り住んだモハジールについても言及している野心作でもある。

オープニング・タイトルバック。ラージャスターンの砂漠からラクダで運ばれて来た銃器がミルチ(唐辛子)の荷へ混ぜられてボンベイに運ばれ、ドラッグも扱うアンダーグラウンド(マフィア)の手を通して、ジャングルに潜むトライバル(少数部族)・テロリストへ渡るまでの武器供給ルートを一気に見せる。もっとも、これらの画の上に、割とのどかなナンバー「zindagi maut na ban jaye」がSEなしで貼り付けっ放しにされ、しかも画と音楽のリズムが合っていないために少々乗りきれない。
その後、テロリストがジャングルを行く観光バスを襲撃。テロリストのリーダーが運転手を拳銃で射殺し、彼が川の流れで血をすすぐのとカットバックで手下たちが乗客を皆殺ししては金銀を奪ってゆく。
構成としては秀逸なのだが、プロップガンはもろに日本製モデルガンだと判るし、弾着やS.E.がVシネマ程度の出来なため、またしても興醒めしてしまう。なるほど、監督のジョン・M・マッタンは新人であった。脚本は巧いが演出がそれに追いついていないわけだ。しかし、中盤あたりからこなれてきたのか違和感はなくなり、マハーラーシュトラ州とアーンドラ・プラデーシュ州の境にあるジャングル、デッリー、ボンベイの大都会、ラージャスターンの砂漠とスケールあふれる作品世界の構築に成功している。特に撮影監督ヴィカス・シヴァルマンによる砂漠のシーンが絵を見るように美しい。

印パ・セパレーション(分離独立)のメタファーとして、「ボンベイ」Bombay(1994)やHindustan Ki Kasam(インドの誓い)(1999)などで双子がたびたび使われて来たが、本作ではガザルがその役を担っている。
ガザルとはウルドゥーの恋哀歌、平たく言うとムサルマーン(ムスリム)の音楽となる。本作に登場するグルファーム・ハサンは表の姿がパーキスターン人ガザル歌手、裏の姿が武器密輸シンジケートのボスという設定。しかし、パーキスターン人だから極悪キャラという風には、これが簡単には割り切れないのだ。
北インドに広がる古典音楽ヒンドゥスターニー音楽は、もともとあったヒンドゥー教徒の音楽が、イスラーム侵攻による西アジア音楽の影響を強く受けて完成された背景がある。その上、現在のガザルはクラシカル・ガザルとは別にフィルミー・ガザルというマイナー・ジャンルが確立するほどヒンディー映画音楽の中、つまりはインド人一般大衆の中に浸透している。
劇中、ヒンドゥーのアジェイ(演じているのはムサルマーンのアーミル)とムサルマーンのグルファームは、ガザルを通して強く結びつく。アジェイの職業がグルファムに知らされるのは中盤になってからで、その時、アジェイはパーキスターンとの国境間際にあるグルファームのハーヴェリー(宮殿)を訪れて一夜の宿を提供されている。グルファームにとってアジェイが特捜部の人間であることは命取りでしかないのだが、「彼は友人である」として寝込みを襲うようなことはしない。このようにガザルが同じ文化を共有する隣人のキーワードとして用いられているのだ。
一方で、グルファームがインド国内に生まれ、セパレーション後にパーキスターンへ移り住んだ元インド人のモハジールという設定であるのも背景を厚くしている。Refugee(難民)(2000)で密(出)入国してまでしてもパーキスターンへ移民を望むムスリムの姿が描かれていたが、本作ではこのモハジールたちがパーキスターン国内でも「差別」 されて扱われていることをも伝えている。

さて、このガザルであるが恋哀歌ということで、本作では学生時代に離れ離れとなったアジェイとシーマのセンチメンタルな思い出(なれそめ)を綴っていて、これがなかなか佳い。
ガザル好きのアジェイが、名優ナスィールッディーン・シャー扮するグルファームのコンサートへ出かけると、MCを担当していたのがシーマであった。ステージは今まさに始まるところで、「hosh walon ko」が歌われる。舞台袖からアジェイを見詰める彼女の想いが、この曲なのである。
ふたりはデッリー大学の学生で、サイクルリクシャーに乗ったシーマのスカーフが風に舞い、キャンパスにいたアジェイの首へとかかる。これがカーマの愛の矢となりアジェイはシーマを意識し始め、ことあるごとに彼女が置き忘れるスカーフに触れんとする。いつしかシーマも彼のことを快く思うようになり、彼女の方がスカーフを彼のそばへ置く。だが、ふたりはバス停で別れたまま、このコンサートまで再会することはなかった。
と言うのも、アジェイの父親と兄が通勤中、彼の目の前でテロリストによって拉致され、兄は即死、父は半植物人間となり、彼らの一家はボンベイへ移ってしまったからである。
プレイバックするのは、アーシャー・ボースレーともデュエットアルバムをリリースしているジャグジット・スィン。甘ったるい深みのある歌声で誉れが高い。

ジャティン-ラリトの音楽はどれも明確で素直に耳に飛び込んで来る。ロック・チューン「jo-hal dil ka」「is diwane ladke ko」におけるアルカー・ヤーグニクの蜜のような歌声に聞き惚れてしまう。
一方、ディラージ・ダーナクサンジョイ・チョウドリーの手による背景音楽になぜかテレビ「探偵物語」のブリッジが使われていて驚かされる。

主演のアーミル・カーンは、ナイーブな学生時代と骨折してもなお果敢に組織を追おうとする熱血捜査官を演じ分け、本作でLAX ZEE CINE AWARD主演男優賞を受賞している。腐った警察組織の中で、賄賂や暴力に屈しないACPアジェイ・スィン・ラトゥールの姿は、「アンタッチャブル」(1987=米)のエリオット・ネスを彷彿とさせる。なお、役作りのために所轄の警部や特捜部の捜査官などにも直接リサーチをかけたそうだ。
ソーナーリー・ベンドレーもかなり魅力的だ。入院中のアジェイをミニスカートで見舞いし、後から来た彼の母親に不作法に見られるのを恥じるなど、細かい点が印象に残る。

そして、ムケーシュ・リシーがいい。Khiladi420(偽闘士)(2000)やAashiq(愛人)(2001)など、なにかとコミカルな敵役が多いなかで、本作のインスペクター・サリームは、アジェイをサポートし、ストーリーに深みをもたらしている。
所轄のサリームがファイルを届けるためにアジェイの家を訪ねるが、彼が戻るまで家の外で待たされる。その扱いがカーストや宗教の違いかと問い、アジェイの家族が父や兄がテロリストに襲われた時、届け出を受けるどころか、アジェイたちを叩き出してまったく相手にしなかった所轄の警官たちを今も許せないでいることを知る。サリームは、アジェイたちの聞き込みをそれとなく手助けし、アジェイと友情を得るのだ。受賞こそ逃したが、FILM FARE AWARD助演男優賞にノミネートされていた。

その他のサポーティングには、トライバル・テロリストのリーダーに、特別出演のゴーヴィンド・ナームデーウ。シンジケートの仲介をするバーラー・タークルにラジェーシュ・ジョーシー、ボンベイのアンダーグラウンド・マフィア、スルターンにプラデープ・ラーワート、組織のキーパーソン、シヴァ役にJungle(ジャングル)(2000)のマカランド・デーシュパンデー、またアジェイの母親にスミター・ジャイカルが扮している。
そしてスルターンの情婦兼ダンサー、マラ役をBadal(雲)(2000)ではジョニー・リーヴァルと組んでハネムーン・カップルだった美人女優ウパサナ・スィンが演じている。目鼻立ちがはっきりした彼女は踊りもなかなか、トップレスバーのダンス・ナンバー「yeh jawani had kar de」ではカヴィタ・クリシュナムールティーとのプレイバックもよくマッチしていた。

興業的にも1999年度のトップ3と好評、FILM FARE AWARD編集賞(ジェトゥー・マンドゥル)脚本賞(ジョン・M・マッタン)LAX ZEE CINE AWARDベスト・メイクアップ賞(ディーパック・バッティー)を受賞。
ちなみに、N.Y.の上映バージョンでは、パーキスターン情報部絡みのシーンはカットされたそうである。

 
 
 
 
 

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