ひんでぃーこれくしょん<R>
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!
   
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正規盤DVDジャケットは、ホログラムで2バージョンのSRKが登場!

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Rab Ne Bana Di Jodi(神は夫婦を創り賜う)/2008 10.01.01 ★★★
ラブ・ネー・バナー・ディー・ジョーリー
製作:ヤーシュ・チョープラー/製作・監督・脚本:アディティヤ・チョープラー/撮影:ラヴィ・K・チャンダン/作詞:ジャイディープ・サハニー/音楽・背景音楽:サリーム-スレイマーン/振付:ヴァイバヴィー・メルチャント、シアマク・ダヴァル/美術:ムニーシュ・サッペル/衣裳:アキ・ナルーラー/編集:リティーシュ・ソーニー
出演:シャー・ルク・カーン、アヌシュカー・シャルマー、ヴィネイ・パタク
特別出演:カジョール、ビパーシャー・バス、ラーラー・ダッタ、プリティー・ズィンター、ラーニー・ムカルジー
Filmfare Awards:男性プレイバックシンガー賞(スクヴィンダール・スィン)/ベスト・シーン賞(ヤーシュ・チョープラー)
公開日:12月12日


STORY
生真面目な小心男スリンデール(シャー・ルク)は、師の急逝を受け行きがかり上、娘のターニー(アヌシュカー)と結婚。しかし、父の他界もあって沈みがちなターニー。新婚ながら甘いひと時は微塵もなく、夫婦別室が続く。ある日、彼女は街で催されるダンス・コンテストに参加したいとスリンデールに申し出る。許可したものの、内心氣になって仕方がない彼は別人ラージになり済まして自らもダンス・コンテストに参加するが・・・。

Revie-U

2008年末に公開されるやブロックバスター・ヒットとなったシャー・ルク・カーン主演作。監督は、DDLJ(1995)を大当たりさせ、製作者としてヤーシュ・ラージ・フィルムズの屋台骨を担うアディティヤ・チョープラー
ヒロインにダンスが抜群の新人アヌシュカー・シャルマーを大抜擢。話題をまいたシャー・ルクのダサ男ぶりが深い感動を呼ぶ仕掛け。
もっとも主役のふたりに集中しているためインド映画にあった家族や隣人愛に触れられないものの、その分、シャー・ルクがたっぷり観られて嬉しいとの声も聞かれる。

一部では「インド映画は脚本なしで撮影」などと一時の香港映画のように言われることもあるが、広いインドのこと、C級/D級作品などならともかく日本映画の数倍〜十倍以上にあたる大予算を投入するボリウッド・メジャーに限っては有り得ない話。
製作〜撮影〜完成〜劇場公開まで含めると1年〜2年ほど要するのが通例だが、本作はアナウンスから公開までわずか8ヶ月程度。しかもヒロインは新人をオーディションで公募し、撮影開始2週間前にようやく発掘したという「即席企画」。
これがそこいらへんのマイナー映画でなく、Mohabbatein(幾つもの愛)(2000)から8年ぶりにメガホンを取るアディティヤとシャー・ルク主演作というから驚き。

もちろん、天下のヤーシュ・ラージ(ヤーシュ王国)だけに思いつきで企画を進めるはずもなく、アディティヤとしては構想・脚本執筆にそれなりに時間をかけてのことだろうし、年内公開という見切り発車もシャー・ルクのスケジュールがたまたま空いていたことも大きいはず。
あるいは、鳴り物入りで製作していたウォルト・ディズニーと提携した3DCGアニメ「Roadside Romeo」(2008)がコケた時(実際そうだったが)のリカバリーを用意する必要もあったと思われる。

さて、話題となったシャー・ルクのイメージを覆すダサ男ぶり。なにしろ七三に黒縁眼鏡、そして口髭(「Paheli (なぞなぞ)の時もシャー・ルク自身嫌がっていたが)のメイク。きわめつけは安っぽいスニーカーだろう。
CD/DVDのジャケット自体が海賊版対策のホログラムになっているが、ここにネタバレ的Wロールの写真が。キモヲタ・ダサ男から変身するのだから、さぞかしいつものヒーロー路線かと思いきや、これまたチープなダサ男(こちらの方がイタダケない?)。

アディティヤがあえてダサ男にこだわったのは「普通の恋愛」というテーマ故。
それだけにヒロインに抜擢されたアヌシュカーもこれまでのボリウッド・ヒロイン女優からすると驚くような地味顔。70年代に「スーパーマン」でマーゴット・キダーがキャスティングされハリウッド・ヒロインの「普通化」が始まったが、いよいよボリウッドも後を追うようになったか。この嘆きは、さらに「Dev.D」(2009)でさらに加速する。

とは言え、ダンス・シーンともなると惚れ惚れするようなステップを見せるアヌシュカー。気立ては悪くないのだろうが、むっつり顔が「リアル」過ぎて感情移入しづらいのはやはり難点だろう。
そのせいか、あれだけの感動作/ヒット作のヒロインを務めながらオファーが殺到することもなく、しばらく次回作のアナウンスがなかったほど。09年後半になってようやく、CC2C(2009)に続くニキール・アドヴァニー監督+アクシャイ・クマール主演作「Patiala House」に。(アッキー主演「Housefull(満員御礼)からディピカー・パードゥコーンが降りてタイトル変更になったかと思ったが、別物の作品)。

「インドの恋愛は結婚から始まる」とよく言われる。本作も冒頭で結婚が成立する。ターニーはダサ男といきなり結婚することになっただけでなく、父を唐突に亡くしたショックもあって新婚早々引きこもりとなる。
スリンダールはパンジャーブ人珍しく?繊細な男で、そんなターニーを遠巻きに見守ってゆく。親友に告げる「恋をした。相手は、妻に」という台詞がデキ婚がほぼスタンダードになっている現代日本からすると限りなく清らかなファンタジーに思えて微笑ましい。

舞台となるアムリットサルは、インド国内ではかなり北に位置するパンジャーブ州にあるスィク教徒の街。印パ分離独立の際には、インド〜パーキスターンを往復した列車に乗った移民がそれぞれヒンドゥー、ムスリム、スィクの手によって皆殺しに遭い殺戮列車の到着駅となったばかりか、英国統治時代にはローラット法(日本の治安維持法に相当)に反対する集会が当局の治安部隊により虐殺され、かのインディラ・ガンディー首相も立て篭もったスィクの過激派を武力制圧するなど多くの地が流れた悲劇の地(パンジャーブ州そのものも分離され、パーキスターン・パンジャーブ州の州都ラホールとはそれぞれ国境まで20kmあまりという「近さ」にある)。
その立て篭もり事件が起きたのが、本作の冒頭で美しい姿を見せるスィクの総本山ゴールデン・テンプル(ハリマンディル・サーヒブ)。聖地だけあって、かつて起きた惨劇など微塵も感じさせない荘厳さをたたえる。
これもスィクたちの祈りの賜物であり、ここからくる愛の深さーー単に好きだから愛するという自己本位なものでなく、伴侶の中に神を見、深く献身する「慈愛」にまで本作のテーマが高められていることが伺えるのだ。

注目のサポーティングは、スリンデールの親友で床屋のバルウィンデール(ボビー)役にBheja Fry(脳味噌揚げ)(2007)のヴィネイ・パタク「Dhoom:2(騒乱2)(2006)でアイシュワリヤー・ラーイをバービーのように痩せさせたアディティヤだけあって、ヴィネイもぐっとダイエット。見違えるようなマッチョ・タイプに変身。SRK共演を果たした勢いでOm Shanti Om(2007)の勝手にスピン・オフ「Quick Gun Murugun」(2009)、「Ek S.R.K」(2010)とシャー・ルク絡み?の出演作が続く。ヴィネイは秀(愁)作「Dasvidaniya(10のさよなら)(2008)など小粒映画の主演も多く、イルファン・カーンに迫るブレイクぶり。そのイルファンがSRK製作「Billu」(2009)で同じく床屋を演じているのが面白い。

さて、ナマボリ名物の元ネタ解説をここで。
退屈な恋愛映画を観ていたターニーが妄想する豪華ゲスト・ナンバル「phir millenge chalte chalte (また会って、ゴー・ゴー)にはヒンディー映画への映画愛が詰まっている。
単なる白バックに見えてそうではない作り込んだセットにセンスが感じられるしょっぱなは、ラージ・カプールカリーナー・カプールの祖父。もちろん、パンジャーブ出身)×ナルギスサンジャイ・ダットの母)へのオマージュ。歌詞に「Awara(放浪者)(1951)とあるものの、チャップリン的なスタイルはシャー・ルクがPhir Bhi Dil Hai Hindustani(それでも心はインド人)(2000)のタイトルに借用した「Shree420(詐欺師)(1955)から。ブラック・アンド・ホワイトのカラー・コーディネイトはラージが活躍したモノクロ映画にちなんで。というよりカジョールの美しき緑の黒髪を引き立てるためとも思えてしまう。
続くビパーシャー・バスをフィーチャル、シャー・ルクが一見「Main Hoon Na(私がいるから)(2004)的セーターを着込んで登場するセピアなスケッチは、デーヴ・アナン×アーシャー・パレーク「Jab Pyar Kisise Hota Hai」(1961)。これまた歌詞にある「jia o」はアーシャーが乗る列車と並行に走るクルマの屋根から(!)デーヴが愛を歌うナンバル。なので、元ネタが解り難いためか、シャー・ルクが顔真似でデーヴらしさ?を表現。
一転、サイケデリックなキャバレー・セットで派手に展開するのが、ラージの次弟シャンミー・カプール篇。「ヤーフー!」の掛け声はキュートなサイラー・バーヌー共演「Junglee(野蛮人)(1961)より。この雄叫びはシャンミーの代名詞とも言え、今もリミックスでサンプリングとして多用される。巨大な<目>をモチーフにした美術セットは、ロカビリー・サスペンス「Teesri Manzil(三階)」(1966)のメモラブル・ナンバル「o haseena(おーい、美人さん)のもの(当時はこのようなシュールレアリズム的ステージ・セットがよく見られた)。SRKBaazigar(賭ける男)(1993)でも踏襲されている大本がこれ。ラーラー・ダッタの聚楽的衣裳は、ヒロインのアーシャー・パレークでなく、オーム・シャンティー・オームOm Shanti Om(2007)でもディピカーが扮していたキャバレー・クイーンのヘレンをモチーフ。それにしても照明の当て具合もあってラーラーが怖すぎ?
パステルカラーの高原列車は、本人の声が引用されているラージェーシュ・カンナートゥインクル・カンナーの父でアクシャイ・クマールの義父)×シャルミラー・タゴールサイーフ・アリー・カーンの母)「Aradhana(崇拝)(1969)よりロマンス・ナンバル「mere sapnon ki rani(夢に見たお姫さま)
そして最後は、リシ・カプール「Hum Kise Se Kum Nahin(我ら誰にも負けない)(1977)。息子ランビール・カプール主演「Bachnaa Ae Haseeno(可愛い娘チャン、ご用心)(2008)のタイトル・ナンバルでもあるのでイントロを聴いて「あ、この曲!」と思った人も多いことだろう。ミニスカートで踊るラーニー・ムカルジーのスタイル&振付は、ヒロイン、ニートゥー・スィン(リシの妻にしてランビールの母)を再現! 天性のリズム感を持つラーニーの愛らしさが伝わってくる。
と、今見たように50〜70年代のボリウッド・ヒーローズへのリスペクトを1曲に凝縮。このような映画愛は「特別なパロディ」でなく、常時行われているのがボリウッドの大きな魅力であり、進化し続ける文化遺産と言えよう。
ちなみに、これらメモラブル・タイトルを継承してサルマーン・カーン主演Jab Pyaar Kisise Hota Hai(1998)、サンジャイ・ダット主演Hum Kisise Kum Nahin(2002)が制作されている。

中盤酔ったスリンダールたちが歌い踊るメモラブル・ナンバルは、本作のタイトルにも引用されている「teri rab ne bana di jodi」アミターブ・バッチャン&シャシ・カプール主演の年間トップ1ヒット「Suhaag」(1979)から。
どういうわけか、この曲、女子フィギュア選手権2009-2010で、押川ロアンナ紗璃選手のプログラム曲になっているので、日本のお茶の間でも知らずに耳にした人が多いはず。
ロンドンで活動する英印混成ブラスバンド「ザ・ボリウッド・ブラスバンド」によるカバー・バージョンとは言え、熱き(暑き)パンジャビーのバングラー・ナンバルを氷上のパフォーマンスに選んだのか興味津々。振付師さんに訊いてみたいところだ。

ここでインドの文化的エピソード故にするりと描かれており、馴染みの薄い日本人には解り難い部分をもうひとつ。
中盤、マッチョ氣分で練習会場に乗り込んだラージが目の当たりにする<ラーキー>シーン。これは、妹が敬愛する兄を祝して行なうセレモニーで、血のつながった兄妹でなくともよく、<妹萌え>が通用しないインドだけにこのラーキーを結ばれてしまっては恋愛感情は一切ご法度の関係となる(それ故にタトゥー男が泣いているわけだ)。
ここで流れているのが、「Chhoti Behan(妹)(1959)より若きナンダーが兄たちに兄妹祭のラーキーを結ぶナンバル「bhaiya mere, rakhi ke(私の兄さま、ラーキーを結ばせて)ラター・マンゲーシュカル)。
ここ最近のボリウッドではまずお目にかからなくなった<ラーキー>。シャー・ルク絡みの作品ではジャッキー・シュロフが堅物の兄に扮した「King Uncle」(1993)が思い出される。
また、窮地となったヒロインの潔白を証明するためにあえてラーキーを人前で結ばせたヴィノード・カンナーアクシャイ・カンナーの父)主演「Kachhe Daage(不完全な鎖)(1973)というのもある。

アディティヤの演出は機微細かく、とにかく感心してしまう。取り散らかっていた監督第2作「Mohabbatein」では演出力においてカラン・ジョハールに遠く及ばないように思えたが、さすがにボリウッドのトップ・コングロマリットを率いるだけに映画の術を知り尽くしている。特に台詞に頼らず、映画の「画(ショット)」で深く心を揺さぶるクライマックスは、息を呑むこと請け合い! この時、アディティヤが考える真の男らしさというものも伝わってくる。
その他、スリンダール宅の手の込んだ美術セットも見物。
それにしても劇中、何回も映画館場面が登場するのがさすが。それほどインド人は映画館で映画を観ているわけだろう(ここで面白いのは、わりかし「上品に」観ているということ。北インドの観客は、ということか)。

今回は、あえてストーリーの詳細は封印。ぜひ本編を観て楽しんでいただきたい(日本向けのサービス・エピソードあり)


 
 
 

 

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