ひんでぃーこれくしょん<D>
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!
   
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Deewana(恋狂い)/1992 07.01.20 ★★★
製作:グッドゥー・ダノア、ラリール・カプール、ラージュー・コータリー/監督:ラージ・カンワル/脚本・台詞:サーガル・サルハディ/撮影:ハルミート・スィン/作詞:サミール/音楽:ナディーム-シュラワン/振付:B・H・タルン・クマール、スレーシュ・バット/美術:リーラーダール・サーワント/アクション:ラーム・シェッティー/編集:A・ムトゥ
出演:リシ・カプール、ディヴィヤー・バーラティー、シャー・ルーク・カーン、アローク・ナート、デーヴァン・ヴェルマ、ダリープ・タヒル、スシュマー・セート、アーシャー・サーチデーウ、ブラフマーチャリ
特別出演:アムリーシュ・プリー、モーニーシュ・ベーフル
公開日:6月25日(年間トップ2)
Film Fare Awards:作詞賞/音楽監督賞/男性プレイバックシンガー賞(sochenge tumhe pyar〜クマール・サーヌー)


STORY

人気歌手のラヴィ(リシ)はスンダルナガルへやって来て、町の娘カージャル(ディヴィヤー)と恋に落ち、結婚する。しかし、悪らつな伯父(アムリーシュ)らにより殺害されてしまう。やがて、ボンベイへ移ったカージャルは若きラージャー(シャー・ルーク)から熱烈なラヴコールを受けるが・・・。


Revie-U *結末には触れていません。
TVスターだったシャー・ルーク・カーンが銀幕デビューした1992年には、なんと5本の出演を数えるが、その中で最もヒットしたのが本作(2位)。と言っても、タイトルビリングは年功序列式のため3番目。
トップビリングは、かのリシ・カプール、そしてヒロインのデヴィヤー・バーラティーへと続く。今でこそ、何故に中年太りのリシが?と思うであろうが、「Chandni(チャンドニー)(1989)の余韻を受け依然、スターとして威光を放ち続けているわけだ。
この時期、新旧スターが入り乱れる中、次世代を担う若手スターの決定打が確立しておらず、ちょうど現在と似たような状況にあった。そこへ登場したのが、シャー・ルークというわけだ。

さて、本作のストーリーであるが、ホワイトハウスと見間違うビクトリア様式の白亜の豪邸に母(スシュマー・セート)と暮らす人氣歌手のリシは、スンダルナガルというその名の通り風光明媚な避暑地へ逗留。この滞在先の荘園は、同年のトップ1を譲ったBeta(息子)」(1992)でもアニル・カプールのハーヴェリーとして使用されている。
ツインドラムスをバックに、白いスーツ、サングラスという出で立ちで黒いストラトキャスターを弾く(!)掴みのステージ・ナンバル「sochenge tumhe pyar」で、リシをみつめているのがヒロインのデヴィヤー。
もちろん、この後、ふたりは恋に落ち、一時の滞在先ながら結婚してしまう! (これはアミターブ・バッチャンが人気歌手を演じた1973年の「Abhimaan」でも同じ)。
デヴィヤーは不可解な死を遂げたこともあって、今も彼女を慕うインド人ファンは多い。Maine Pyar Kiya(私は愛を知った)(1989)のバグヤシュリーが清楚さを薫せながらもマハーラージャーの血筋故に高嶺の花とするならば、デヴィヤーはどこか手の届きそうな愛らしい存在(得意の台詞は「ぶっ殺すわヨ!」。中盤、これが災いとなる…)。
踊りの点ではシュリデヴィーには大きく水をあけられてしまうが、デヴィヤーはこの年、ゴーヴィンダとの「Shola Aur Shabnam(炎と霧)が3位、サニー・デーオルとの「Vishwatma」が6位と主演作3本がトップ10入りという沸騰ぶり。その人氣がわかろうというもの。

話の筋としては、ロマンスだけにあらず。リシらの財産を狙う悪どい親戚筋として、特別出演のアムリーシュ・プリーモーニーシュ・ベーフル親子と争って、リシは中盤にして滝壷へ落とされてしまうのであった!

待てど暮せど一向に出て来ないシャー・ルークは、インターミッション開け、忘れた頃にバイクに乗って登場! ボンベイの町中をバイク仲間と乗り回すナンバル「koi na koi」は、どこかで聞いたメロディー…。
そう、アミター・ジー&サンジャイ・ダット「Kaante(棘)(2002)でも流用されたミトゥン・チャクラワルティー主演「Disco Dancer」(1983)のヒット・ナンバル「I'm disco dancer」からの借用。前半の中年リシに対して、若いエナジー溢れるシャー・ルークの登場ナンバルだけに、眩しい青春を歌ったオリジナルの歌詞からインスパイアされたのであろう。
そう言えば、サンジューは南アフリカで行われたボリウッド・コンサート「Now or Never 2」のステージで自演の持ち歌として生声で歌っていたが、メロディーに関してはシャー・ルークにもそれが当てはまることになる。

このナンバル中、若きシャー・ルークとデヴィヤーの出会いとなるのだが、これが浮かれて走っていたために、なんと道路を横断中のスシュマーをバイクで引っかけてしまう! これに激怒したデヴィヤーがシャー・ルークを平手打ちするのだ。富豪のどら息子という役柄だけに、恐らくは初めて強く叱責されたのだろう。これで彼女に一目惚れしてしまうわけだ。

若き未亡人とは言え、不吉な寡婦へ熱く恋心を抱いては結婚を迫り、彼女の名(カージャル)を腕に刃物で刻み込む異常性は強烈な印象を放ったようで、これを見た?商魂逞しきヒットメーカー、ヤーシュ・チョープラがさっそくシャー・ルークを据えて企画したストーカー物が翌年トップ1を勝ち得たDarr(恐怖)(1993)なのであった。
インディラ・ガーンディーが敷いた、ある種抑圧された社会主義政策に対するカタルシスとして、かつてアミター・ジーが演じた主人公は<怒れる若者>と呼ばれたが、シャー・ルークが演じるラージャーは何不自由なく育ち放蕩を享受する一方で父へ強く反発する歪んだ青年像となっていて、自由経済路線への大胆な展開から<カリユガ(末世)>の到来を予感させる<狂える若者>とも言えよう。

本作の前年に行われたインドの経済開放政策は、果たしてボリウッドのフィルムメーカーたちにも新風を吹き込んだようで、前半、富豪のリシと庶民の娘が恋したことに反対する妻へ伯父が「そんな古いことを言っていちゃいかん!」と階級差を超えた愛を擁護したかと思えば、後半、寡婦の辛さを身をもって知るリシの母親が若き未亡人となったデヴィヤーに再婚を勧めさえする。
もっとも、スシュマーは、かのラージ・カプール監督、リシ主演作「Prem Rog(恋の病い)(1982)にて、寡婦となった姪(パドミニー・コールハープレー)に辛くあたるうるさ型の大伯母を演じている。
ちなみに、この作品は寡婦の再婚というWater(2005)や「Baabul」(2006)を先取りするテーマを持ちつつ、社会派ラージ・カプールが「私はピエロ」Mera Naam Joker(1970)の興行的失敗から転じたロマンス重視の通俗マサーラー路線をとっており、ジョイント・ファミリーが暮らす豪邸やオープン・セットの広場で祭りに興じるモブ・ミュージカル・シーンなどは、カラン・ジョハールヤーシュ・ラージ・フィルムズにもその影響が見受けられ、一見の価値あり。

こうして、シャー・ルークはデヴィヤーと早々に挙式するのだが、ストーカーめいた彼の内面はこのことで一段落ついたらしく、初夜の寝室で「心を開いてくれるまで、君には触れない」と誓う。片親に育ち愛に飢えながらも、心偏執的であった「Darr」のような展開とはならず、虞犯青年だったラージャーも自動車修理ガレージを開業し、マジメに働くようなる。ただし、これで終わらず、あっと驚せるのが、やっぱりマサーラーの常道的展開!
この、カージャルと義母がボンベイで住まう邸宅は、同年の「ラジュー出世する」Raju Bhan Gaya Gentleman(1992)で、出世したシャー・ルークが社長令嬢のアムリター・スィンより授かるのと同じ屋敷で撮影されている。

その他のサポーティングは、カージャルの歌好きな伯父デーヴダースにDil To Pagal Hai(心狂おしく)(1997)でもマードゥリー・ディクシトを引き取って育てた歌好き伯父役のデーヴァン・ヴェルマ
ラージャーの父親に、Soldier(1998)などの常連敵役だったダリープ・タヒル。ロンドン・ミュージカル「Bombay Dreams」に参加して以来、本業の舞台に専念したようだが、近年はボリウッドに復帰しつつあり、銀幕で頻繁に再会出来るのが待ち遠しい。
Vaada(約束)(2005)など定番父親役アローク・ナートが、ボンベイに逃げ延びたカージャルたちを匿う富豪シャルマ役として登場。
また、シャー・ルークの友人役でバイクでも見事なバランスを披露する巨漢は、前年のPhoo Aur Kaante(花と棘)(1991)はじめ、アジャイ・デーヴガンの作品でしばしば登用されるサリーム・カーン。出番は少ないが、印象は超弩級!

監督のラージ・カンワルは、これがデビュー作。助監督を務めたGhayal(傷ついた者)(1990)のポスターをセットに貼っていたりするのが微笑ましい。本作でのロケ地スンダルナガルがよほど氣に入ったのか、カンワルは、ボビー・デーオル主演Badal(雲)(2000)でも主要な物語の展開地として再び選んでいる。
リシとデヴィヤーの結婚式の準備ではK3G(2001)でも使われた「Chandni」のナンバル「mere haathon mein nau nau」(無論、主演はリシ!)が、母の住む豪邸に戻ってのパーティー・シーンでサージャン/愛しき人Saajan(1990)の「dekha hai pehli baar」を、続いて悪役アムリーシュらが乗り込んで来るシーンではDon(1978)より「main hoon don」を楽団に演奏させている遊びもあってマサーラー心をくすぐってくれる。
音楽監督デュオ、ナディーム-シュラワン、作詞サミール「teri umeed tera intezaar」)、プレイバックシンガーのクマール・サーヌー「sochenge tumhe pyar」)共にトリオでFilm Fare Awardsを受賞。
ムード演歌調で心酔わせる主題歌「aisi deewangi」ではアルカー・ヤーグニクヴィノード・ラトードが、そしてサミールはこの曲でもノミネートされており、この年、インド人を心酔わせた作品であることが伺われる。


若きシャー・ルークの軌跡が見てとれ、ファンとしてはやはり押さえておきたい作品である。

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「Prem Rog」で寡婦となった幼馴染みと結婚しようとするリシ・カプール扮する主人公は、万教同根などヒンドゥー改革思想を説いたラーマクリシュナヴィヴェーカーナンダを信奉しているというバックボーンとなっていて、寡婦制度に対する批判が込められていたが、本作のラージャーは弁えることなくカージャルに惚れ込んでおり、その点でも<狂える若者>と言うことが出来る。

 
 
 
 
 

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