ひんでぃーこれくしょん<C>
オススメ度 =陳腐 ★★=退屈 ★★★=平均点 ★★★★=面白い! ★★★★★=お気に入り!!
   

アッチャー・ソングス
maha kali
スニディー・チョハーン
maha kali
アーデーシュ・スリワスターウ
dank maare
スニディー・チョハーン
dank Maare
アーデーシュ・スリワスターウ
dulhan dulhan
ヴィジュイェーター・パンディット
jab jab saiyyan
ヒマーニー・カプール
kitni sardi kitni garmi
アーデーシュ・スリワスターウ
kitni sardi kitni garmi
ヴィジュイェーター・パンディット
taandav

インストルメンタル

ナマステ・ボリウッド
オススメ通販ショップ

(インド映画DVD・書籍・雑貨・民族衣裳・サリー・パンジャビードレス・ファブリック)

ティラキタ
アムリタ
書肆なゆた屋
パインズクラブ

アジアハンター
はるばる屋

Chingaari(閃光)/2006 06.04.01 ★★★
製作:ヴィカース・サハーニー/製作・原案・脚本・台詞・監督:カルパナ・G・ラージュミー/原作:Dr.ブーペン・ハザーリカー「Postman & Prostitute」/台詞:アショーク・サウェニー/台詞翻訳・助監督:ヴィシャール・ヴェルマー/台詞翻訳・詩・手紙文:タンヴィール・ドゥルラーニー/台詞翻訳:イラ・アルーン、スシュミター・セーン/撮影:ヴィシャール・スィンハー/詞:サミール/音楽:アーデーシュ・スリワスターウ/振付:ガネーシュ・アチャルヤー/アクション:ヴィクー・ヴェルマー/美術:ニキール・S・コーヴァレー/編集:ザファール・スルターン
出演:スシュミター・セーン、ミトゥン・チャクラワルティー、アヌージュ・サーウェニー、イラ・アルーン、アーンジャン・スリワスワーウ、ラヴィ・ゴーサイン、スニール・スィン、ヴィカーシュ・スリワスターウ、スレーシュ・アッバース、カクウィンデール・スィン、シャンカル・サーチデーヴァ、ジュムマー・ミトラー、アニタ・ネーハ、プリティー・ジョーシー、プリティー・プラカーシュ、アシカ・スールヤヴァーシー、ベビー・スウィニー・カーラー
公開日:2月17日


STORY

赤線で働くバサンティ(スシュマー)は、郵便配達夫として新しく村へやって来たチャンダン(アヌージュ)と恋に落ち、結婚することに。だが、タントラ密儀によって村を牛耳る司祭ブヴァン(ミトゥン)の怒りを買って・・・。

Revie-U

「Main Hoon Na(私がいるから)
(2004)の女教師チャンドニーが実に愛らしかったスシュミター・セーンの最新主演作。
ゲスト出演した「Kisna」(2005)に続く娼妓物と聞いて、ムジュラー・ナンバー「chilman uthegi nahin」Devdas(2002)を意識したイスラーム美術とサロージ・カーンの振付により鮮烈だったことも手伝って、荘厳の衣装を纏った高級娼婦の彼女を思い描いていた。
が、これは北インドの村にある娼窟が舞台とする最底辺の女の物語であった。

冒頭、登場するスシュミターは、娼婦同士のつかみ合いに野次を飛ばし、妙にはしゃいでいる。ちょっと彼女の実年齢を考えると引いてしまいそうになるが、これは長い髪を三つ編みのお下げにしているところから、 扮するバサンティは、まだ十代の少女という設定なのだろう。すでに4〜5歳の娘がいるので、恐らく十代前半には売られた身であることが伺われる。

そんな彼女と恋に落ちるのが、郵便配達夫のチャンダン。都会から僻地の郵便局へ派遣された青年で、自転車を押して村々をまわり、文盲の娼婦たちに届いた恋文を読んで聞かせるのだ。と、ここまでなら「山の郵便配達」(1999=中国)となって、心温まる文化映画で終わってしまう。だが、そうとはならない。

ふたりの運命を打ち砕くのが、この村の実権を握るヒンドゥー寺院の司祭ブヴァン・パンダ。マハーラージと崇められるこの男、夜な夜な村の男達を集わせては、横たわった死体の上で捧げられた生娘相手にシャクティタントラ密儀を執り行う。
日本にも真言立川流として伝わったこの密儀は、マディヤ(酒)・マンサ(肉)・マツヤ(魚)・ムドラー(穀物)、そしてチャンダーリーの娘とのマイトゥナ(性交)を用いたパンチャタットヴァ(五摩法)の儀式として知られる。
足早に説明すれば、ここでの女性は女性原理シャクティの人格化とされ、男はシヴァとなって、性交の忘我により宇宙エネルギーとの融合を目指すという。
無論、欲望をコントロールし、聖なる意識を持続することは難しく、実際に多くの聖者が魔道に落ちている。本作に登場する司祭ブヴァン・パンダも、儀式だけでは飽き足らず、村の赤線に出入りするなど、真理の追究を標榜するタントラ・ヨーガが所詮、男性優位社会の産物でしかないことを含んでいる。

さて、この旺盛な性欲を撒き散らすタントラ司祭を演じるのは、ローカル映画界に君臨するミトゥン・チャクラワルティー
国立映画研究所卒業後、「Disco Dancer」(1982)でスターに躍り出て、アミターブ・バッチャンレカーなどとも多数共演。その後、ホテル経営に進出した高級避暑地ウーティーを牙城に、Aaag Hi Aag(火には火を)(製作年度不明)などのB級C級アクション・マサーラーを怒濤の勢い(1997年には少なく見積もって年間8本!)で主演作をリリース!
ここへ来てサルマーン・カーン主演「Lucky」(2005)、アルジュン・ラームパールジョン・エイブラハムアミーシャ・パテールをフィーチャーした「Elaan」(2005)などにもリスペクト・オファーされるなど、言わばソニー千葉小林旭を足して2で割ったような存在! 御歳59歳ながら老いて尚、屈強な身体を晒してスシュミター相手に絶倫なところを見せつける! 眼光鋭きタントラ司祭を演じられるスターは、さうさうおるまい(無論、この手の役を自分のマーケットを確立したヒーロースターである彼がその年齢で挑戦するのは、かなりの冒険であったことだろう)。
反面、郵便配達役のアヌージュ・サーウェニーは棒術も難なくこなすものの、華がなく印象が極めて薄いのが難点。

監督のカルパナ・ラージュミーグル・ダットの姪で、「ルダリ - 悲しむもの-」Rudaali(1993)が日本でもアジア太平洋映画祭で上映されている。
インド女性の人権向上を目指して製作されたラヴィーナ・タンダン主演Daman(2001)はDV夫を刺し殺した妻の実話映画で国立映画公社保健省が出資し、モチーフとなった事件が起きたアッサム州では免税で公開され、見事ラヴィーナがナショナル・アワードを受賞。
しかしながら、カルパナの演出には冴えがなく、ラヴィーナの受賞にしても審議をめぐって審査員が辞める騒ぎがあったり、とあまり褒められた出来ではなかった。

そんな思いは「Daman」で音楽を提供したDr.ブーペン・ハザーリカも抱いたのか?、クライマックスを増強して本作の原作「Postman & Prostitute」を執筆した模様?? この人はアッサム出身の音楽家で、10歳にしてアッサミー映画のフィルミーソングを吹き込み、「Chameli Memsaab」(1976=アッサミー)でナショナル・アワード音楽監督賞を受賞。その後、監督業にも進出している。

今回はカルパナの演出は、かなり向上している。
出色なのは、バサンティが娘を叱りつけるシーン。宵の口、娼館の玄関先にしゃがみ込んだ娘が鏡を覗き込んで紅をつけている。誰も彼女に構うことなく、足早に動き回っている。この時、キャメラはフルショットの画からゆっくりと横移動し、幼女へと近寄ってゆきながら、女としての本能が誰しも備わっていることを雄弁に語るのだ。残酷なことに、その前のエピソードで母親の商売がなんたるものであるか覗き見てしまったのを見せられているだけに胸を締めつける。
そして、充分にショットが語り終えた頃、バサンティが駆けつけては鏡を叩き落として叱りつけるのだ。 この後、泣き疲れて眠り落ちた愛娘を抱きながら、バサンティは呼び込みの口上を子守歌代わりに語り続ける。それは傷だらけの自分自身をあやそうとするかのように。
(ただ、この長い芝居も肝心のミキシングが今ひとつで、台詞と画の空気感が分離してアフレコが浮き上がってしまっているのが残念)

こう書くと、「演技派に転向したがったスシューだが、やはり芝居は今ひとつ」という印象を与えるかもしれない。ここまでならオファーのあったラヴィーナやビパーシャ・バスプリティー・ズィンターはちょっと違うと思うが)、さらには「Raincoat」(2004)で貧しい主婦を演じたアイシュワリヤー・ラーイでも情感を揺り動かす程度には演じることはできるだろう。だが、スシュミターの本領が発揮されるのは、第3幕に入ってから。
郵便配達夫との結婚を妨害しようとした上、娼館を訪れた司祭が娘の名前を口にするや、それまで弱者であったバサンティが遂に逆ギレする。その場は大人しく退散した司祭だが、郵便配達を殺害。翌朝、彼女の元に花婿が贈ろうとしたシンドゥールが届けられる。バサンティは床にこぼれた真紅のシンドゥールに語りかけ、それを額へと塗り付ける。今は亡き恋人と結ばれた歓びと深い悲しみが綯い交ぜとなって笑い泣き、次第に感極まって、遂にカーリーが憑依! ドーラックを打ち鳴らしながら村人を引き連れ復讐へと向かうのだ!! 長い黒髪を振り乱し、三叉戟で突き殺しては舌を突き出して歓喜するスシュミターは、まさしくカーリーそのもの!!!

サポーティングは、赤線の女将にプレイバックシンガーのイラ・アルーン。単なる遣り手婆でなく、バサンティはじめ娼婦たちを親身になって面倒をみるのが佳い。「Mandi」(1983)、「Lamhe(ひととき)(1991)、「China Gate」(1998)などに出演する一方で、作詞家として「Mandi」Grahan(日蝕)(2001)などに提供。Khal Nayak(悪役)(1994)のヒット・ナンバー「choli ke peechhe」では、ニーナ・グプタのパートをプレイバック。今回は、スシュー同様、英語原作の台詞を自分でヒンディーに直している。
若人の恋を見守る郵便局長アーンジャン・スリワスターワと、おかまちっくな靴屋チントゥー役のラヴィ・ゴーサイも印象に残る。

ちなみに、バサンティがチャンダンら村人たちと踊る「ramaiya vasta vayiah」は、ラージ・カプール主演「Shree 420(詐欺師)(1955)の古典フィルミーソング。金持ちに出世してしまったラージをよそに下町の人々が和気藹々と踊り、心のよりどころとなる場面に使われていたナンバー。

厳しい現実に置かれたインド女性の問題提議をライフワークとするアルパナ・アージュミーであるが、今回、タントラ・ヨーガを取り上げたのはどこまでその思想性を考慮してのことだろうか。
インド人は、この世をマーヤー(幻)と見ると言われるが、タントラ思想の特色は「今いる現実世界から目をそらさずに生きていると信じるところにある」という。また、「人は自分を倒す相手と利用して起き上がらねばならない」、「われわれをがんじがらめにしている人間の本性的な側面そのものが、実は解脱への踏み石になりうる」とも説かれる。
果たして、バサンティはブヴァン殺しを通して、自分と愛娘の人生を建て直したのだった。

(参考文献:「タントラ 東洋の知恵」アミット・ムケルジー著/松長有慶訳/新潮選書) 。

 
 
   

 

(c) Copyright 2001-6 Studio Third Eye,Namaste Bollywood. All Rights Reserved. since 2001.01.01.
★承認なしの直リンクを禁じます。

FRONT PAGE  ボリウッドスーパースター列伝  脇役商会  これくしょん  メール  リンク