<TIRAKITA>でDVDを購入する
正規盤・2面見開きデジトレイ(紙製+プラケース)
アッチャー・ソングス
kaun kiska huga hai
ヴァスンダーラー・ダース
sab hoshiyajur
シャーン
|
Bheja Fry(脳味噌揚げ)/2007
08.01.05 ★★★★
べージャー・フラーイ
製作:スニール・ドーシー/脚本・監督:サーガル・バラリー/脚本:アルピター・チャッタルジー/台詞:シャーラト・カターリア/撮影:パリクシト・ワーリエル/音楽:サーガル・デーサーイー/
美術:ミーナル・アガルワル/音響:タパス・ナーヤク/編集:スレーシュ・パイ
出演:サリカー、ラージャート・カプール、ヴィネイ・パタク、ミリンド・ソーマン、ランヴィール・ショーレー、トム・アルテール、バイラヴィ・ゴースワーミー(新人)、ハルシュ・チャッヤ、イクラクィー・カーン
公開日:4月13日(封切週トップ1!)
STORY
ランジート(ラジャート)は売れっ子音楽プロデューサー。仲間内で恒例となっている余興芸人を持ち寄る男だけのパーティーに歌好きだがお世辞にも上手とは言えないバーラト(ヴィネイ)を招こうとするが、自分はギックリ腰、歌手である妻シータル(サリカー)はそれまでの不満から連絡が取れなくなって……。
Revie-U *結末には触れていません。ご安心を。
ここ数年、ボリウッドも多様に変化し、大人の観賞に耐える洒落た小粒映画の秀作が多く作られるようになったのは嬉しい収穫。
そんな中、本作はノンスター映画ながら、なんとリリース週はアクシェイ・クマール主演「Namastey
London」(2007)を蹴落として2週連続トップ1の動員! 「Ta Ra Rum Pum」(2007)、「Shootout
at Lokhandwala」(2007)など大作が続々と公開される中、7週目までトップ5に留まる持続力を示した(これは、95分という回転率の良さもあげられるだろう)。
ランジートはお抱え運転手を持ち、妻にも新車を買って与えられる身分。週末の金曜日は、飲み仲間の男たちとディナー・パーティーを開き、一風変わったタレント(ピン芸人)を連れ寄っては余興を楽しむのを恒例にしている。
冒頭で、高級ホテル(インドでは「食堂」のこともホテルと言うが、ここでは本当のホテル)のプールサイド席で食べ残しを手に取って、有閑マダムのペット犬に餌をやる振りをして戯れているところからも、やや自己中心的、独善的な性格の持ち主というのが見て取れる。
演ずるラージャート・カプールは、俳優兼監督としてキャリアを重ねてきて、「FILMFARE」誌の新進監督特集にも姿が見られるまでになった。
役者としては「Kisna」(2005)で白人ヒロインにご執心の敵役マハラジャが印象に残る。
一見、神経質なインテリに見えて、ヴィジャイ・ラーズを主演に起用した監督作「Raghu
Romeo」(2003)は、なかなかにユニークなマサーラー系アート映画だったりする。
タイトルバックでレコーディング風景を見せる妻シータル役のサリカーは、カマール・ハサンの元妻で、60年代からの子役出身。「Khushboo(芳香)」(1975)における少女の面影が見て取れるのが懐かしい。サード・ヒロインとなるリシ・カプール主演「Yeh
Vaada Raha」(1982)では、大人びた壮麗な美人で現れ、息を呑むほどに。碧い眼も手伝ってどこか妖艶で、シャーロット・ラプリングを思い出させる。しかしながら、本作ではややトウが立ちすぎているとも思えなくもない。
夫カマールの監督作「Hey Ram(神よ!)」(2000)でNational
Film Awards最優秀衣装賞を獲得した後、離婚。米印合作「Parzania」(2005)でNational
Film Awards最優秀女優賞を受賞。それ故、トップ・ビリングで名を連ねる。
真の主役は、バーラト役のヴィネイ・パタクだ。細めで神経質そうなラジャートに対してずんぐりむっくり、マイルドなジョン・ベルーシといったキャラクター。
「ミモラ」Hum
Dil De Chuke Sanam(1999)の小さな役などを重ね、ジョン・エイブラハムのデビュー作「Jism」(2003)、「とらわれの水」Water(2005)で存在感を示し、「Khosla
Ka Ghosla!(コースラーの家)」(2006)で注目される。
2007年はマイナー・サッカー映画「Say Salaam India」(2007)はじめ6本に出演。タランティーノ・スタイルの犯罪映画「Johnny
Gaddaar」(2007)の口髭姿も凛々しく、マードゥリー・ディクシト復帰作「Aaja
Nachle(踊りにおいで)」(2007)、シャイニー・アフージャー×ソーハー・アリー・カーンの年代映画「Khoya
Khoya Chard」(2007)など、売れっ子ぶりには驚くばかりだ。
ベルーシ似だからと言って脳味噌爆発キャラというだけでなく、温かみのある声が終盤、ほのかな感動を呼ぶ。このあたりが彼の持ち味であろう。
このバーラト、歌のコンテストでゴールド・メダルを貰ったと言いながら、歌はまるきり聴けたものではない。おまけにフォトアルバムを常に持ち歩いてはお構いなしに誰彼なく見せようとする、ちょっと浮いた男。
ランジートは音楽プロデューサーではあるが(売り込みに来る連中もド音痴ばかり!)、彼をデビューさせるつもりなど毛頭なく、仲間の前で余興をやらせ皆で笑おう、という程度。
ギックリ腰になってまで、そんな愚かな振るまいをしようとするランジートに、シータルも日頃からの鬱積をプチンと切らして、新しい愛車で行方も告げずに出かけてしまう。
そこへ事情を知らないバーラトが訪ねて来て、ひょんなことからランジートの不倫相手に電話してしまい、すったもんだの展開となるわけだ。
バーラトは、ランジートにいいようにあしらわれながらも、面倒をついついみてしまう人情家。このおせっかい過ぎるところは、人との交流の篤い国だけある。
サポーティングは、ランジートの主治医役に「Kranti(革命)」(1981)、「Mangal
Pandey」(2005)など悪徳英国人役が多いトム・アルテール。若い頃はボンベイ在住の素人外人キャストにしか見えなかったが、老齢に入った白髭姿がよい。
収穫は、ランジートの友人アナント役のミリンド・ソーマンだろう。モデル時代はアルジュン・ラーンパールと肩を並べ、<インディアン・ポップ・シンガー>アリーシャー・チナイのMV「made
in India」にも起用される。
ヒーロー映画「16 December」(2002)はまずまずであったが、その後は(アルジュン同様?)鳴かず飛ばすで「Jurm」(2005)の敵役などで燻っていた。
本作の役作りでは長髪にひげ面、眼鏡が似合い、声のトーンも心地よく、役者としての成長が見られる。もっともアルジュン同様、決定的な華に欠けるのが致命的ではあるが。
欧州6カ国合作「Arn-Tempelriddaren」(2007)で海外進出、ディノー・モレア主演「Bhram」(2008)が待機中。
もうひとり、強力なコメディリリーフがタックス・オフィサーとして登場するランヴィール・ショーレー! 「Jism」、「Yun
Hota To Kya Hota(もし起きたら、なにが起きるか)」(2006)の端役でキャリアを積み、「Khosla
Ka Ghosla」の喧嘩っ早い弟役で頭角を現し、「Honeymoon Travels Pvt.Ltd.」(2007)ではなんとディヤー・ミルザーの夫役(!)。アングラ系迷宮映画「No
Smoking」(2007)の欠損男など、これからの注目株だ(メイキング中の一発芸も見物!)。
もっとも、コメディアンではなく、「Jism」でもヴィネイと組んでジョンの親友役を好演、「Traffic Signal」(2007)では路上を徘徊するITプログラマー役でシリアスな芝居を見せるなど作品に厚みをもたらす実力派だ。
タイトルにある「Bheja」は「脳味噌」の意味で、「Bheja Kaanaa(脳味噌喰い)」で「同じことを繰り返し話しかけたりたずねたりして困らせる/うるさがらせる」となる。(ヒンディー語=日本語辞典)
脚本・監督は、ラジャートの「Raghu Romeo」でチーフ助監督を務めたサーガル・バラリー。これが処女作となるが、製作環境は「RR」よりぐっとアップ。幸運なデビューを飾ったとはいえ、例によって「奇人たちの晩餐会」(1998=仏)のイタダキ。
元々はフランシス・ヴェベールの舞台を映画化したというだけあって、後半はラジャートの自宅内でほぼ展開する。
設定をマッチ棒工作の名人から<歌手>に変更してあり、ミーナークマリ主演「Pakeezah」(1972)より「chalte
chalte」(ヴィネイ)、ラージ・カプール主演・監督「私はピエロ」Mera
Naam Jokar(1970)より「jane kahan gaye」(ミリンド)、同じくラージ・カプール「Sangam(合流点)」(1964)より「dost
dost na raha」(ヴィネイ+ミリンド)など、インド人が郷愁を抱くメモラブル・ナンバルが俳優の地声で飛び出して楽しませてくれる。
なお、原版の方は、ハリウッドでもリメイクが進行し、「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」(2006=米)のサシャ・バロン・コーエンが出演する模様。
<TIRAKITA>で正規盤DVDを購入する
|